2018.8.19
「苦難の中で神に叫ぶ」



ヨナ書2章1~11節


【音声データ】
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「しかし、わが神、主よ/あなたは命を/滅びの穴から引き上げてくださった」(7節)


 ヨナの祈り・叫びは、ただ絶望で終わっているのではありません。7節の後半から、思いがけない感謝と喜びの歌が始まっているのです(7~8節)。「滅びの穴」というのは陰府(よみ)の穴のことです。たとえ、どんなに深いどん底であろうとも、命が危難に陥(おちい)っていようとも、祈りは神様に届くのです。私たちも、同じです。どんなに深い人生の闇・絶望の中にあっても、神が遠く離れておられるように思えても、そこから祈ることができるのです。そして、その祈りは、必ず神様に届きます。

 「わたしは主の御名を唱えた」と言われるときの「唱えた」というのは〈思い起こす〉という意味の言葉で、単に過去のことを想起するということではなく、神が遠いと思われるときに、神様の名を呼び、神の前で生きようとすることです。“私の息が絶えそうになった時、私は主を思い起こした”。主イエスが話してくださった〈放蕩息子の譬え〉が思い起こされます。弟息子は、愛に満ちた父親のところから自分で勝手に出て行って放蕩の限りを尽くすのです。しかし命が絶えそうになったその時、父親のことを思い起こし、父のもとに帰って行ったのです。それを、聖書は〈悔い改め〉と呼びます。

 それゆえ、これはヨナの〈悔い改め〉の祈りであり、イスラエルの〈悔い改め〉でした。そしてその祈りを、神様はちゃんと聞き届けてくださったのです。「しかし、わが神、主よ/あなたは命を/滅びの穴から引き上げてくださった」。ここで始まる大いなる「しかし」にまさって喜ばしい歴史の転換はありません。ヨナは、罪と死と陰府のどん底から、再び神の恵み・恩寵(おんちょう)の現実に立ち返って、救い出され贖(あがな)われた喜びを声高らかに歌うのです。







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